先般、公開した小説「涼風の如く」に感想をいくつかいただきました。

本能寺の変の前後で、明智光秀の娘婿であり織田信長の甥、津田信澄と、明智光秀の末娘、京(実際は名前不詳)の生き様を描いたものです。

一つは伏線が沢山あってわかりにくい。また、史実と違うところがあるので混乱する、というご意見です。
この小説は、実は基になる長編の構想があって、そのスピンオフ小説なので、伏線が沢山できてしまっているところがあります。また、史実と違う、というのは、正確には定説と違うということだろうと思います。信長を殺したのは明智光秀ということになっていて、いろんな推理がされています。しかし、どの推理も真相にたどり着いたとは言えないのではないでしょうか?
信長を殺したのは明智光秀という前提から始まるので真相がつかめないのです。

本能寺の変前後で、その時代では不可能と思われる事柄が少なくとも3つ起きています。

一つは秀吉の中国大返し

もう一つは、家康の伊賀越え

もう一つ、あまり注目されていないのですが、光秀の居城、亀山城(現在の亀岡)から京の本能寺までは、経路によっても違いますが20-25kmです。重装備の軍勢が急坂を夜間行軍、不可能に近いことです。

秀吉の中国大返し、家康の伊賀越え、光秀の京への夜間行軍、ほぼ不可能な3つの出来事の上に推理されている、これでは真相にたどり着くのが不可能です。どこに嘘があるか、まず見極めて、合理的な推理をしていく必要があります。

私は小説を書いている最中に、羽柴秀吉の陰謀、それも黒田官兵衛を介して、切支丹の協力を得て事を謀ったという考えが頭に浮かびました。

もう一つの感想が、歴史をよく知らない人には難しすぎるというものです。背景をかなり詳細に記述したつもりですが、人と人との関係、名前を覚えるのが大変なようです。これはどの小説でも出てくることで、登場人物をある程度絞っていくしかないかもしれません。そうすると筋が平板になりますし、どうしたらよいか、考えてみます。

また、ご意見、ご感想があればお知らせください。